総合問題

総合問題1

次の事例を読んで問題109から問題111までについて答えなさい。

[事 例]
Kさん(78歳、女性)は、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)(認知症高齢者の日常生活自立度ランクⅡa)と診断されていた。夫が亡くなった後、隣町で理容店を営む息子夫婦と同居するようになった。3ヶ月たった頃から夕方になると「夫が帰ってこない」と玄関先に座るようになり、夜中に夫を探して家中を探し回るようになった。診察の結果、認知症(dementia)の進行(認知症高齢者の日常生活自立度ランクⅢb)が認められた。Kさんが夜間に徘徊するため息子の妻は不眠が続き体調を崩してしまった。現在、Kさんは自宅に近いグループホームに入所している。

 

問題109

夕方になると「夫が帰ってくるので、家に帰ります」と言って足早に外に出ようとするKさんに介護職がかける言葉として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.「暗くなるので外は危ないですよ」
2.「家に帰りたいのですね」
3.「ここがKさんの家ですよ」
4.「明日息子さんに来てもらいましょう」
5.「もうすぐ夕食の時間ですよ」

答え:正解 2

1.× Kさんに対して否定的な言葉かけは好ましくありません。
2.○ Kさんの気持ちを理解していることを伝えることが適切といえます。
3.× 入所しているグループホームがKさんの家でないことはKさん自身が認識しています。
4.× Kさんは夫に会いたいと思っていることから、不適切です。
5.× Kさんの気持ちをはぐらかすような対応は不適切です。

 

問題110

息子夫婦は週1回面会に来るようになったが、Kさんの病状が進行していくことを心配している。息子夫婦に対する介護職の働きかけとして、適切でないものを1つ選びなさい。

1.過去1週間のKさんの生活の状態を報告した。
2.面会時にKさんと一緒に近所を散歩することを勧めた。
3.今後予測されるKさんの状態を説明した。
4.他の利用者を考慮して月1回の面会にしてほしいと頼んだ。
5.病状のことで問題があれば医療職と連携して対応することを伝えた。

答え:正解 4

1、2、3、5 ○ 息子夫婦へのさまざまな情報提供や提案は適切といえます。
4.× 面会を減らすことを求めるのは適切ではありません。

 

問題111

認知症高齢者の日常生活自立度ランクⅣまで認知症が進行したときに予測されるKさんの状態として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.息子夫婦の商売を心配するようになる。
2.自室の掃除など身の回りのことをするようになる。
3.食事のたびに代金のことを心配するようになる。
4.夫のことを言わなくなる。
5.妄想による問題行動が継続する。

答え:正解 4

1.× 息子夫婦の商売の心配ができることは、症状の改善を思わせます。
2.× 身の回りのことができるようになることは、症状の改善を思わせます。
3.× 代金のことを心配することは、症状の改善を思わせます。
4.○ 亡くなった夫のことを言わなくなるのは、症状の進行を思わせます。
5.× 問題行動の継続していることは、症状の段階の継続を思わせます。

 

総合問題2

次の事例を読んで問題112から問題114までについて答えなさい。

[事 例]
Lさん(24歳、男性)は、小さい頃からスポーツ好きだった。特に球技が得意で、学生時代はサッカー選手だった。2年前に大学を卒業後、就職して2ヶ月後に交通事故で胸髄損傷(thoracic spinal cord injury)を負い、両下肢が不全麻痺の状態になった。尿意はなかったが自己導尿が可能となっていた。障害者手帳を取得したものの、家に引きこもって家族の介護を受けていた。1年前よりようやく生活介護事業所に通所できるようになった。通所当初から障害を受容できず、何事にも消極的で、他の利用者や職員とほとんどコミュニケーションをとらなかった。生活面も車いすへの移乗や移動は職員任せであった。時折、外を見ながら、涙ぐんでいることがあった。ある日、送迎時の車の中で、Lさんは職員に「なぜこんなことになったのか、僕には仕事も、スポーツも、結婚も、もうない」とぽつりと言った。

 

問題112

送迎に付き添う介護職が、Lさんにかける言葉として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.「頑張ればきっとよくなりますよ」
2.「リハビリをして仕事に復帰しましょう」
3.「サッカーの試合を観戦しに行きませんか」
4.「今の思いをゆっくりと話してみませんか」
5.「学生時代の友人に会ってみませんか」

答え:正解 4

1、2、3、5 × Lさんは障害を受け入れることができず悩んでいる状態であり、単純な励ましや、サッカーや学生時代の友人のことは重荷になり逆効果になる。
4.○ Lさんの気持ちを理解しようとする姿勢を示すことは適切です。

 

問題113

職員はLさんがサッカー選手だったことを知り、週末に地域にある障害者スポーツセンターに行くことを勧めた。それが良いきっかけになったのか、その後、Lさんは車いすバスケットボールを始めることを考えるようになった。
Lさんが障害者スポーツに参加するための支援として、適切なものを1つ選びなさい。

1.移動支援
2.行動援護
3.重度障害者等包括支援
4.居宅介護
5.コミュニケーション支援

答え:正解 1

1.○ Lさんは両下肢不全麻痺の状態であり、車いすは使用できるとみられ、障害者スポーツセンターへの移動支援が最も適切と考えられます。
2.× 行動援護とは、知的障害や精神障害を要する利用者の中でもその介護の程度が著しく高い利用者を対象としていて、Lさんには不適切といえます。
3.× 重度障害者等包括支援は、常時介護を要する利用者の中でもその介護の程度が著しく高い利用者を対象としていて、Lさんには不適切といえます。
4.× 居宅介護は、利用者の居宅での介護であり、Lさんには不適切といえます。
5.× Lさんは障害を受け入れることができず悩んでいるものであり、コミュニケーション障害に関わる支援は不適切と考えられます。

 

問題114

Lさんは車いすバスケットボールをすることにより、様々な活動に積極的に参加するようになった。半年後週2回の自立訓練(機能訓練)を始めて、現在では右足で体重が支えられるまでになった。そこでLさんは、両上肢を利用して車いすへの移乗が可能であったか、自分の足で車いすへの移乗ができることを希望し練習を始めた。この時点で、Lさんがベッドから車いすに自力で移乗する際に介助をするときの留意点として、適切なものを1つ選びなさい。

1.左側に車いすを置く。
2.右足を前に出す。
3.上体を垂直にする。
4.勢いをつけて立ち上がる。
5.右足の膝折れに注意する。

答え:正解 5

1.× Lさんは、右足で体重が支えられる状態であり、車いすは右側に配置することが適切をいえます。
2.× ベッドから車いすに移乗する際には、軸足である右足を前に出すのではなく、後ろに引くといいです。
3.× ベッドから車いすに移乗する場合には、上体をやや前かがみにすると安定してスムーズに移乗できます。
4.× 勢いをつけて立ち上がるのは危険であり、動作はゆっくりと行います。
5.○ Lさんの軸足である右足の膝折れに注意することは適切です。

 

総合問題3

次の事例を読んで問題115から問題117までについて答えなさい。

[事 例]
Mさん(55歳、男性、要介護5)は妻(54歳)と娘(25歳、会社員)の三人暮らしである。52歳のときに、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)を発症した。54歳でほぼ全介助となった。現在、食事はミキサー食である。風呂好きであったが、発症後は妻が清拭と部分浴をしている。リフトを使用してリクライニング式車いすへ移乗し、午前と午後に1時間程度座っている。右手の親指のみ、少し動かすことができる状態である。
最近のMさんは球麻痺症状が強くなり、呼吸もしづらくなってきている。医師から「今度1ヶ月以内には、胃瘻の造設と人工呼吸器装着が必要になるだろう」と説明を受けている。主となる介護者は妻であるが、娘は夕方から就寝まで手伝っている。
娘は半年後に結婚式を控えている。Mさんは結婚式に出席して、娘を祝福したいと思っている。

 

問題115

現在、Mさんに現れている症状として、正しいものを1つ選びなさい。

1.認知障害
2.感覚障害
3.嚥下障害
4.膀胱直腸障害
5.眼球運動障害

答え:正解 3

1、2、4、5 × 球麻痺とは、延髄の障害により起こる麻痺であり、嚥下障害や構音障害などを起こすものです。Mさんは今度1ヶ月以内には、胃瘻の造設と人工呼吸器装着が必要となるとの診断を受けており、Mさんに現れている症状は嚥下障害を考えられる。
3.○

 

問題116

自宅でMさんの入浴介護を行うために簡易浴槽が必要となった。利用できるサービスとして、正しいものを1つ選びなさい。

1.特定福祉用具販売
2.生活支援事業
3.日常生活用具給付等事業
4.福祉用具貸与
5.難病患者等居宅生活支援事業

答え:正解 1

1.○ 簡易浴槽は、特定福祉用具販売の対象です。
2、3、4、5 × 生活支援事業には日常生活用具給付等事業があり、入浴担架や入浴補助用具はあるが、簡易浴槽は対象ではありません。また、難病患者等居宅生活支援事業には日常生活用具給付等事業があり、入浴補助用具はあるが、簡易浴槽は対象ではありません。

 

問題117

娘の結婚式を2週間後に控え、娘を祝福したいというMさんの願いをかなえるために、Mさん、妻、介護支援専門員、医師、看護師、作業療法士及び訪問介護士によるカンファレンスが開かれた。
訪問介護士の役割として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.医療職と連携し、体調管理をする。
2.痰の吸引方法を指導する。
3.結婚式場の環境を一緒に下見する。
4.意思伝達装置のスイッチの工夫をする。
5.人工呼吸器の事故が発生したときの対応方法を指導する。

答え:正解 1

1.○ 訪問介護員が、医療職と連携して体調管理を行うことは適切です。
2.× 痰の吸引方法の指導は医療職が行います。
3.× 結婚式場の環境を一緒に下見するのは、作業療法士などが行います。
4.× 意思伝達装置のスイッチを工夫するのは、作業療法士などが行います。
5.× 人工呼吸器の事故が発生したときの対応方法は、訪問介護員が指導するものではなく、利用者を含めて関係者全員で確認しておくべきものです。

 

総合問題4

次の事例を読んで問題118から問題120までについて答えなさい。

[事 例]
Nさん(75歳、女性)は一人暮らしで、公営住宅の3階に住んでいる。公営住宅にはエレベーターはない。10年前より高血圧の内服治療を受けている。軽度の知的障害があるが、通常の生活を送っている。近所に住んでいる甥は週に1回程度Nさん宅を訪問し、金銭管理面の世話をしている。
1ヶ月くらい前から、いつものように働くと息切れがする、疲れやすい、足がむくんでだるい、お腹が張るなどの症状がNさんに出現した。主治医から「心不全(heart failure)を起こしているから安静にするように」と告げられた。入院治療を勧められたが拒否し、自宅での生活を続けることになった。甥はNさんのことを心配し、介護保険制度を利用することにを提案した。

 

問題118

Nさんは、訪問介護サービス[週3回(昼のみ)]、訪問介護サービス[週1回]を利用することになった。訪問介護員がNさんの状態について訪問看護師に報告する内容として、最も優先すべきものを1つ選びなさい。

1.口臭の有無
2.体重の変化
3.便の回数
4.睡眠時間
5.家事動作

答え:正解 2

1、3、4、5 × Nさんは高血圧の内服治療を受けており、医師から心不全を起こしていると診断されている。選択肢の中からは体重の変化を報告するのが、最も重要を考えられます。
2.○

 

問題119

訪問介護サービス開始後1ヶ月経過した。Nさんの症状は軽減し、医師から「少しずつ身体を動かしていくようにしましょう」と言われた。訪問介護員が行う日常生活の支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.1回の食事摂取量を増やすように促す。
2.買い物に出かけるよう促す。
3.食事を一緒につくるよう促す。
4.布団を上げて掃除をするように促す。
5.長時間の入浴を促す。

答え:正解 3

1.× 1回の食事摂取量を増やすことは、医師からの「少しずつ体を動かす」指示との関連は薄いといえます。
2.× 買い物に出かけることは、エレベーターのない3階に住むNさんには負担が大きすぎると考えられます。
3.○ 食事を一緒につくることは、適度な運動にもなり、Nさんに適切です。
4.× 布団を上げて掃除をするのは、Nさんには負担が大きすぎます。
5.× 長時間の入浴は心臓への負担が大きく、Nさんには危険です。

 

問題120

さらに2週間が経過して、Nさんの生活は病気になる前の状態に近くなり、訪問介護サービスは終了した。一方、仕事の都合でNさんの甥は遠方に引っ越した。
今後、Nさんが自立した生活をしていくための訪問介護員の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.訪問介護サービスを終了とする。
2.金銭の管理を甥から引き継ぐ。
3.甥を一人で訪問するよう勧める。
4.1階への転居について相談するよう勧める。
5.食事の味付けを濃くするように勧める。

答え:正解 4

1.× Nさんは完治したわけではなく、甥も遠方に引っ越ししており、サービスを終了するにはまだ早いと考えられます。
2.× 日常の買い物ではなく、訪問介護員が金銭管理を行うことはできません。
3.× 甥一人でNさんの世話をすることは、困難と考えられます。
4.○ エレベーターのない3階に一人住まいは不適切であり、1階への転居は適切といえます。
5.× Nさんは高血圧の内服治療を受けており、食事の味付けを濃くすることは塩分摂取量を増加させて不適切です。

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